2021年の介護・育児休業法の改正に伴い、2022年10月から新制度が開始されます。 この記事では2022年10月までの旧制度を解説しています。スケジュールを検討される際には、ご自身の育休取得時期について、よく確認しましょう。
いざ育休を取ろう! と決めても、いつからいつまで取るのか、実際にスケジューリングするとなると戸惑いますよね。国の制度なので、「柔軟には取れないんじゃないの?」というような声もよく聞きます。
実は最近の育休制度、多様化した働き方やライフスタイルに適応できるように、育休の分割制度、延長制度、パートナーとの交替制度などが充実してきているんです。
- 育児休業(育休)の期間は原則1年間
- ただし保育園の待機などで最長2年まで延長可能
- 期間が延長になれば、育児休業給付金も延長する
- 育休が取れるのは原則、出生につき一回限り。ただし、特例措置を使うと2回目も取れる!
この記事では、
・育休期間を考えるために必要な情報を
・図解を多めに
・知識ゼロの方にもわかりやすく
解説していきます。
目次
育児休業(育休)の期間は?
育児休業(育休)の期間は原則1年間
育児休業の期間は原則産後1年間です。女性には産後休業があるため正確な育休の期間は男女で異なります。
女性は「産後休業が終わった57日目(産後8週)」から「子供が1歳になる誕生日の前日」、男性は「子供が生まれた日(誕生日)」から「子供が1歳になる誕生日の前日」までの1年間です。男女どちらも、「子供が1歳になる誕生日の前日」までには、職場に復帰する前提となっています。
ただし、以下のようないくつかのケースでは育休期間を延長できます。ここからは、育休を延長できる特殊ケースについて説明をしていきます。
- 取得期間が延長する: 保育園待機 1年半 / 2年
- 復帰時期を遅らせる: パパママ育休プラス 1年2ヶ月
- その他の延長: 企業独自制度 2年以上
取得期間が延長する:保育園の待機などによる最長2年の延長
1歳までに保育園に入園できなかった場合に(※)、最長2年まで延長できます。延長のタイミングは以下の2回です。
※…その他、養育予定者の怪我、死亡、離婚、新たな妊娠など、保育が困難になった場合も含みます。
- 1歳時点で保育園待機:1歳半まで延長
- 1歳半時点で保育園待機:2歳まで延長
PDF / 厚生労働省掲載サイト
保育園の待機で育休が延長になったら、育児休業給付金も延長する?
保育園待機で延長になった場合、育児休業給付金も延長します。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
子どもが1歳半までに保育園に入園できなかった場合
待機児童となったことを理由に延長する際は、保育所等が見つからないことを証明する書類を、居住地の市役所に提出する必要があります。
1歳半時点での「不承諾通知書」と延長する旨を記載した育児休業申出書を提出し、育児休業期間を最長2歳まで延長できます。
書類は1歳時点の延長申請と同様です。
参考|育児休業取得の段取りリーフレット
PDF / イクメンプロジェクト掲載サイト
復帰時期を遅らせる:パパママ育休プラス制度による延長
パパママのどちらも育休を取得する場合、本来「子供が1歳になる誕生日の前日」までに復帰しなければならないところ、復帰のタイミングを「子供が1歳2ヶ月になる日の前日」まで延長できます。
これは2010年から始まった制度で、「パパママ育休プラス」と呼ばれています。
注意をしていただきたい点として、取得できる最終日は延びますが、1人あたりで取得できる期間は変わらず、最長1年です。前述した保育園待機での延長では、取得期間自体が1年半〜2年に伸びますが、パパママ育休プラス制度は、復帰時期を遅らせるだけ。給付金の総額も変わりません。
取得期間が1年のままで、お尻をずらすことに意味があるのか? と思われるかもしれませんが、メインのユースケースはママの職場復帰をスムーズにするため、男女で取得時期をずらすところにあります。
例えば上記の図では、パパは産後2ヶ月から育休を開始。そのため、ママが産育休を合計で一年取得した後も、パパの取得期間は合計で10ヶ月です。1年まで残り2ヶ月あるので、ここでパパママ育休プラス制度を使うと、パパとママの職場復帰時期をずらすことができるわけです。
お互いの職場復帰をスムーズにするため、ぜひ活用を検討してみてくださいね。
参考|パパママ育休プラス H28制度改正リーフレット
PDF / 厚生労働省掲載サイト
※2021年6月育児・介護休業法が改正されましたが、パパママ育休プラス制度は継続します。
その他:会社独自制度による延長
近年、大企業などでは、育児休業法よりも長い期間の休業制度を整えている場合があります。3年などのケースが多いようです。
ただし、育児休業給付金(休業中に一定の給付金を得ることができる制度)の支払いは、国が定める期間のみ。原則は1年間かつ、上記の延長理由による正式な延長を以ってしても、受給できるのは最大で2年までです。
※…詳しくは育児休業給付金の解説を参照。
「3年取得できる」という会社の制度がある場合、給付金相当分を負担するような金銭補助があるのか、それとも3年休職することができるだけの制度なのか、よく確認してみましょう。
育休は夫婦同時に取得できる?
育休は何回取れる?分割して取得することは可能?
通常、育児休業は一人の出生に対して、原則一回しか使うことができません。例えば6ヶ月間育休を取得して、その後職場に復帰したら、もう一度育休に入ることはできないのです。(※特別な事情がある場合は再取得が認められることもあります)
2回目の育休が取れるケース①:パパ休暇
「パパ休暇」(または「再取得の特例」)という、決められた期間に則っていれば理由を問わず2回目を取得できる制度があります。これは産後8週間以内に育休を取得・終了した場合、その後の期間で育休を再取得できるというものです。
- 父親が子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること
- 父親が子の出生後8週間以内に育児休業を終了していること
これは男性の育休取得支援として導入された制度で、育休を2回に分けることで柔軟に取得ができるようになります。
例えば、
- 産後8週以内:産後の妻の体調回復支援のための育休
- 以降の2回目:妻の職場復帰支援のための育休
筆者の家庭では、この制度を活用して、産後4週〜8週まで夫が育休を取得し、赤ちゃんのいる新生活の立ち上げを行いました。その後夫は一度職場に復帰。進行中だったプロジェクトがひと段落ついた産後10ヶ月のタイミングで、妻の職場復帰を見越して、再度2回目の育休を取りました。
間で職場に復帰することができるので、仕事が忙しく手が離せないという方でも、取得のハードルが下がる良い制度です。
PDF / 厚生労働省掲載サイト
注:2021年6月育児・介護休業法の改正に伴い、2022年10月〜「パパ休暇」は廃止となり、後述する「産後パパ育休」に統合されます。
2回目の育休が取れるケース②:育休が延長し、パートナーと交代で育休に入る場合
また、保育園の待機により育児休業が延長した場合、延長したタイミング(つまり、1歳のタイミングと、1歳半のタイミング)に限り、パートナーと交代する形で、再度育児休業を取得することが可能です。回数は期間中に原則1回のみ。1歳〜1歳半、1歳半〜2歳の間にすでに育休を取得したことがある場合は、再度取得することはできません。
- 配偶者が、子の1歳到達日(※誕生日の前日)に育児休業にあること
- 厚生労働省令で定める理由(保育園待機等)に基づいて、育児休業の延長が認められていること
- 子の1歳/ 1歳6か月到達日後の期間において、育児休業をしたことがない場合
2回目の育休が取れるケース③:厚生労働省が定める特殊な事例に該当した場合
その他、特殊なケースに基づいて、育児休業の再取得が認められるケースがあります。詳しくは厚生労働省の公式ページをチェックしましょう。
- 配偶者が死亡したとき
- 配偶者が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により子の養育が困難な状態となったとき
- 婚姻の解消その他の事情により配偶者が子と同居しないこととなったとき
- 申出に係る子が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態になったとき。
- 新たな育児休業の開始により育児休業期間が終了した場合で、新たな育児休業の対象となった子が死亡したとき又は他人の養子になったこと等の理由により労働者と同居しなくなったとき
- 介護休業の開始により育児休業期間が終了した場合で、介護休業の対象となった対象家族が死亡
したとき又は離婚、婚姻の取消、離縁等により対象家族と労働者との親族関係が消滅したとき
参考| 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(令和4年4月1日)
PDF / 厚生労働省掲載サイト
まとめ
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