「育休ってなんだろう」と思ったとき、何から調べればいいか困りますよね。
筆者も子どもが生まれるとわかってからというもの、厚生労働省、ハローワーク、会社のサイトや個人ブログを読み漁り、なんとか職場初の男性育休を取得。 情報が散逸していてわかりにくかったり、情報が古かったり、最初は戸惑うことばかりでした。
この記事では、「これだけ読めば育休の全体像が掴める!」を目指して、
・育休を取得するために必要な情報を
・知識ゼロの方にもわかりやすく
・時間をかけて、丁寧な言葉で
解説していきます。
- 育児休業を取りたいけど何から調べていいかわからないパパ
- 夫に育児休業を取ってほしいママ(このURLを送っちゃいましょう!)
- 調べたけど公式情報が散らばっていて嫌になっている人
※会話形式でサッと読める、簡単な3分解説もあります! お時間のない方は以下の記事の方をご覧いただき、もしもっと詳しく知りたい!と思ったら、ぜひこの記事に戻ってきてくださいね。
目次
育児休業の概要
- 子が1歳になるまで男女の労働者が休める制度(国の法制度)
- 期間は原則1年間、ただし保育園の待機など特別な条件で最長2年まで延長可能
- 男性は産後8週以内に育休を開始し終了することで再取得可能
- 休業中は育児休業給付金という手当を受給可能
- 申請は会社へ、関連手続き(給付金支給、保険料免除など)は会社が実施
【関連サイト】
・育児・介護休業法について(厚生労働省)
・育児休業給付金について(ハローワーク)
・育児休業制度とは(イクメンプロジェクト)
※掲載情報については、厚生労働省およびハローワークの公式サイトを確認しています。
育児休業(育休)とは
育児休業とは、労働者が子の誕生から原則1歳まで休業できる制度です。
育休はよく「育児休暇」「育児休職」と呼ばれますが、正式名称は「育児休業」です。
育休は企業制度ではなく国の法制度
育児休業は、育児・介護休業法という法律で定められた国の制度です。
よく「うちの会社は男の育休制度がないんだよね。うらやましい。」という声を聞きますがそれは間違い。男女の労働者が平等に取れる制度です。
育児休業(育休)の条件は?
育児休業は、育休申し出時に1歳未満の子を育てている、もしくは予定がある男女であれば、雇用期間にかかわらず誰でも取得できます。
ただし、有期契約社員の場合は、同一事業主に1年以上雇用されている、かつ子が1歳6ヶ月になる日まで雇用契約がなくなることが明らかでないことが条件です。
- 原則1歳に満たない子を育てる男女
- (非正規雇用の場合)同一事業主に1年以上雇用されている、かつ子が1歳6ヶ月になる日まで雇用が満了しないこと
詳しく知りたい場合は以下の記事を読んでみましょう。
育児休業(育休)の期間は?
育児休業の期間は原則産後1年間
女性は産後休業があるため、男女で算出期間が違いますが、どちらも合計が1年間であることは変わりません。
特例の育休延長措置がある
ただし、以下のようなケースでは育休期間を延長できます。
- 保育園に落ち、待機児童となる(最大2年まで延長)
- パパママ育休プラス制度を使用する(最大1年2ヶ月まで取得可能)
- 企業独自制度(国の制度とは全く別に取得できることがある)
特に東京都などでは待機児童が深刻な問題となっており、1年〜1年半のタイミングで保育所へ入園できない場合、育休を延長することが認められています。ただし、保育所の内定を受けたにもかかわらず、これを辞退した場合には、この延長制度は適用されません。
また、「パパママ育休プラス」という、夫婦で育休を取得した場合に限り、1年2ヶ月まで育休の期間を延長することができる制度もあります。
各制度について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。
育児休業(育休)は何回取れる?
育児休業は、子どもの出生につき原則一回までとされています。
しかし、以下の特例措置を使うことにより、2回に分割することが可能です。
- 2022年10月まで:「パパ休暇」制度を利用する
- 2022年10月から:「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度を利用する
※2021年6月に改正された育児・介護休業法に基づいて、2022年10月から「産後パパ育休」が施行されます。この制度の導入に伴い、「パパ休暇」は廃止となります。これから育休取得を考える方は、取得時期に注意してください。
2022年10月まで:「パパ休暇」制度を利用する
この制度はママの就労支援・パパの育休取得支援を目指して設立されたもので、「産後8週間以内に一度目の育休を取得し始め、かつ産後8週間以内に育休を修了した場合」に限り、もう一度育児休業を取得することができます。
2回に分割することで、長期で育休を取らずとも、産後のサポートと復帰のサポート、両方を行うことができます。
2022年10月から:「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度を利用する
各制度について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。
育休休業(育休)中の収入は?手当は?
雇用保険から育児休業給付金を受給できる
雇用保険から「育児休業給付金」が支払われます。育児休業中は会社からの給与は支払われません。
育児休業給付金の給付額は以下の計算で算出できます。
180日まで 賃金月額 × 67%
それ以降 賃金月額 × 50%
社会保険料、所得税が免除される
育休中は社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)、所得税が免除されます。免除をふまえると、育休中の収入は手取りと比較して180日以内は約80%、それ以降は約55%です。
もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみましょう。
手取りと比較するとどうなる?
社会保険料と税金が免除されるため、支給割合が67%だとしても、手取りと比較すると80%近くなるケースがあります。
ただし、給付金には下限・上限があるため、「必ず手取りの8割近くなる」わけではありません。
180日まで 休業前手取りの約80%
それ以降 休業前手取りの約55%
興味が湧いた方は、育児休業給付金の金額が計算できる「育休シミュレーター」を使って、実際の金額を計算してみましょう!
育児休業給付金の受給時期は?
初回支給はハローワークの審査、振込手続きが終わったあと、育児休業開始日から約2〜3ヶ月後です。
その後、2ヶ月ごとにまとめて支給されます。支払われるまでにブランクの期間があるので、貯蓄の状況は気にかけておきましょう。
育児休業の申請は?
育児休業の申請は、基本的に会社を通して行います。申請手順は以下のとおりです。
- 会社に育休取得を申し出する(4ヶ月前ごろ)
- 会社に必要書類を提出する(最低1ヶ月前)
- 会社経由で育児休業給付金に関する書類を受け取る
- 育児休業給付金支給申請書を提出する(育休開始後2ヶ月ごと )
- 1歳半までの延長を申請する(子どもが1歳までに保育園に入園できなかった場合)
- 2歳までの延長を申請する(子どもが1歳半までに保育園に入園できなかった場合)
1. 会社に育休取得を申し出する(4ヶ月前ごろ)
妊娠の報告とともに、育児休業を取得したい旨を伝えましょう。正式に育児休業の申出書などを受け取るはずです。
2. 会社に必要書類を提出する(最低1ヶ月前)
会社への書類提出を行います。会社は、育休に関する手続き(ハローワーク、雇用保険、健康保険など)を行います。
目安として、育休開始日の1ヶ月前には提出しておきましょう。もちろん社内のルールも確認しておくといいですね。
3. 会社経由で育児休業給付金に関する書類を受け取る
会社経由で「①支給決定通知書」と「②育児休業給付金支給申請書」を受け取ります。受け取るのは育児休業開始後になる場合もあります。
- 支給決定通知書
育児休業給付金の受給資格を確認する通知書です。ハローワークで発行されます。支給期間、支給金額、支払方法などを確認できます。 - 育児休業給付金支給申請書
2ヶ月に1回、申請書を提出します。 その都度会社から申請書が送られてくるでしょう。
4. 「育児休業給付金支給申請書」を提出する(育休開始後2ヶ月ごと )
育児休業給付金支給申請書を会社に提出します。
育児休業給付金は2ヶ月ごとの申請、支給です。ただし、申し出することで1ヶ月ごとにも変更できます。
5. 子どもが1歳までに保育園に入園できなかった場合
1歳時点での「不承諾通知書」と延長する旨を記載した育児休業申出書を提出し、育児休業期間を1歳半まで延長できます。
使用する書類は以下のとおりです。
- 不承諾通知書
保育園に落ちた証明です。自治体から発行されます。 - 育児休業申出書(延長箇所記載)
会社に改めて延長の申し出をします。 - 育児休業給付金支給申請書(延長箇所記載)
育児休業給付金も同様に延長申請します。
6. 子どもが1歳半までに保育園に入園できなかった場合
1歳半時点での「不承諾通知書」と延長する旨を記載した育児休業申出書を提出し、育児休業期間を最長2歳まで延長できます。
書類は1歳時点の延長申請と同様です。
いつでも見返せるやることリストとして、以下の記事を掲載しています。迷ったら確認してみましょう。
参考|育児休業取得の段取りリーフレット
PDF / イクメンプロジェクト掲載サイト
育児休業(育休)のメリット
- 子どもと一緒に過ごせる
- 夫婦で育児をスタート、夫婦で職場復帰できる
- 自分や家族のライフプランを見直せる
メリット1:子どもと一緒に過ごせる
当然のことですが、子どもや家族と過ごせる時間が増えます。
また単純に時間が増えるだけではなく、朝の時間や平日日中など働いているとなかなか一緒にいれない時間を過ごすことができるのが、貴重な経験でした。
メリット2:夫婦で育児をスタート、夫婦で職場復帰できる
産後の育児スタート時は、授乳、オムツ替え、沐浴、寝かしつけと、初めてのことの連続です。
育休を取って夫婦一緒に育児をゼロからスタートできると、夫婦間の育児レベルの差を生まずその後の育児をスムーズに連携できるはず。また職場復帰のときも、復帰後の生活を一緒に考えることができ、復帰が円滑に進みます。
メリット3:自分や家族のライフプランを見直せる
仕事から少し離れ、家族と過ごすことで、改めて自分の働き方やライフプランを見直すきっかけになります。
筆者も育休取得までは残業が多かったのですが、仕事を効率化して残業をなくす、フレックスタイム・在宅勤務を活用するなど、育休をきっかけに働き方を本格的に変えることができました。
育児休業(育休)のデメリット
- 収入が減る
- キャリアへの不安、昇進・仕事への影響
デメリット1:収入が減る
会社からの給与がなくなり、育児休業給付金を受け取ることになるので収入は減ります。
とはいえ、180日以内であれば67%、181日以降も50%の給付金が出るので一定の収入はあります。(社会保険料免除を考慮すると手取りの70~80%程度)
デメリット2:キャリアへの不安、昇進・仕事への影響
悲しいことに、いまだ人によっては育休を取ることでマイナスイメージを持たれ、昇進が遅れたりすることはあるようです。
しかし、そもそもこうした「育休による不当な取り扱い」は違法で、訴訟の事例もあります。
また、近年では転職の機会も多くなっていますし、今の会社に固執しすぎず家族の時間を考えれば、育休も必ずその後の人生において大切な経験になるはずです。
まとめ:育児休業(育休)を取ろう
制度 | 子が1歳になるまで男女の労働者が休める国の制度 |
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期間 | 原則1年間、ただし保育園の待機など特別な条件で最長2年まで延長可能 ・保育園待機 1年半 / 2年 ・パパママ育休プラス 1年2ヶ月 ・企業独自制度 2年以上 |
回数 | 原則1回、ただし特別な条件で2回以上取得することが可能 ・2022年10月まで:「パパ休暇」制度を利用する ・2022年10月から:「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度を利用する |
収入 | 雇用保険から育児休業給付金という手当を受給可能 ・180日以内 67% ・それ以降 50% |
申請 | 会社へ申請、関連手続き(給付金支給、保険料免除など)は会社が実施 |
メリット | 1. 子どもと一緒に過ごせる 2. 夫婦一緒に育児をスタート 3. ライフプランを考えるきっかけになる |
デメリット | 1. 収入が減る 2. キャリアへの不安 |
長い人生でこんなに仕事を休み、家族で一緒に過ごせる時間が他にあるでしょうか。
男性にフォーカスすると、6.16%(2018年厚生労働省調べ)とまだまだ取得率が低い育児休業。しかし、各家庭に合わせて取得できるように制度が整っていっています。
ぜひ一度取得を検討してみてくださいね。何か困ればご相談ください。
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月収と予定日を入力だけで給付金の金額・タイミング、子どもと過ごす時間を簡単に計算できます。ぜひシミュレーションしてみてくださいね。